涙を流されて

作品を受け取ってくれた

そんなにも自分の作品を

気に入ってくれたのか?



四ヶ月前にこのコートバンの

ランドセルをお預かりした時

「息子のランドセルを処分できなくて」

そんな時にご主人が

名刺入れが欲しいって言われている

そんなタイミングと相重なり

この革で名刺入れを

製作させていただく事になりました

50年は経過しているコートバンは

比較的堅くはなっているものの

どうにか製品にできそうだ

こういうものにハサミを入れるってことは

正直緊張します

でも思い切りも必要なので…

だいぶ硬くなってるので慎重に

傷が多く入っているので

カットした後には染色も致しました

そして穴あけは通常のように

叩いて開けると割れてしまうので

一本菱目で一穴一穴手開けにて

この一つしか取れない量なので

ミスは許されない訳で…

そして昨日お渡しさせて頂きました

その時に涙の理由を話してくださいました

このランドセルを背負ってた息子さんは

もう亡くなられてるとのことでした

事前にそれを言うと

製作に支障があるかと思い

言わないでいましたとのことでした

確かに最初に伝えられていたら

カットできていたかどうか…

それからしばらくの間

お茶を飲みながらゆっくりと

息子さんの話をしてくださいました

母の深い愛を感じ鳥肌が立ちました

これを受け取るお父さんの為に

長い結婚生活の中で

初めて手紙を書かれたそうです

なんだか一冊の本を読み終えたような

気持ちにさせて頂いた一日になりました

この仕事しててよかったと思う日でした










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